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ごみ識別AI搭載の自動クレーンシステム運用開始
荏原環境プラント株式会社(本社:東京都大田区、代表取締役社長:渡邉良夫)は、株式会社Ridge-i(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:柳原尚史)と共同開発した、熟練運転員の眼を代替するごみ識別AIを搭載した自動クレーンシステムの実証実験に成功し、この度、運用を開始しました。
1.背景
ごみ焼却施設では、排ガス性状やごみ発電の安定化において燃焼の安定化は重要です。ごみピット(以下,ピット)内のごみ性状を均一化する撹拌や、特殊ごみの退避等のクレーン操作が必要になります。そのため、現在は運転員が視覚的にごみ性状を認識し、適時クレーンを操作し燃焼の安定化を図っています。燃焼安定化を進めるために、運転員の技量の差、将来に向けた人に依存する作業の低減が必要と考え、クレーン作業において人に依存しない自動化の開発を進めてきました。
2.システム概要
本システムは、カメラで捉えたピット内のごみ状況を、AIでごみの撹拌状況などを識別し、高度制御装置でピット内のクレーン操作判断を行い、クレーンを自動運転するものです。 自動化開発にあたっては、この「運転員の眼」を代替することが重要課題でした。そこで、画像解析技術に定評のあるRidge-iと共同で、ディープラーニング(深層学習)を用いたごみ識別AIの開発を行ってきました。多種多様なごみを識別するだけでなく、ごみ袋の破れ具合までも見極める最先端のAIによりごみ状況を精緻に識別可能にしたことで、従来の自動クレーンでは困難であった「燃焼に適したごみを識別した上で炉に投入する」ことや、「特殊ごみ(大量に炉に投入すると機器や燃焼に悪影響の出るごみ)を識別し適切に対処する」ことが可能となりました。

3.今後の展開
今後、本AI搭載自動クレーンシステムを既設炉・新設炉に限らず展開していくとともに、焼却炉の燃焼制御へのAI活用を進めていきます。そして、投入ごみの識別結果と焼却炉の燃焼制御とを組み合わせた操炉全般にAI活用することで、焼却炉の自動運転を実現し、安定かつ、人に依存しない次世代型のごみ焼却施設を目指します。
荏原環境プラントは、EPCとO&Mを一体で手掛けている強みを生かし、施設運営者の視点に立って、AIをはじめとする最新の技術を活用し、安全で安心な社会基盤の構築に貢献してまいります。