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既設流動床焼却施設の基幹的設備改良工事
ー水噴霧式排ガス冷却施設の事例ー
既設焼却施設においては機能を改善しながら延命化を図る基幹的設備改良工事が行われている。機能改善は,温暖化対策としてCO2排出量を削減するものである。温暖化対策としては熱利用率の向上と設備のエネルギー消費量削減がある。
流動床焼却炉はガス化溶融システムの実績を踏まえて,消費動力を大幅に削減するためのメニューが整っている。熱利用率向上が困難な水噴霧式排ガス冷却方式の流動床焼却施設において,基幹的設備改良工事を行い,プラントの消費電力量を20~30%削減できたので報告する。
平塚市向け「次期環境事業センター整備・運営事業」の竣工と運営事業の開始
平塚市及び大磯町,二宮町のごみ処理を担う流動床焼却施設「平塚市環境事業センター」を納入した。315 t/dの処理能力を有し,最新型施設として高効率発電,焼却残渣の全量リサイクル,高度排ガス処理設備を備えた循環型社会に対応した施設となる。本施設は,2010年5月に設計及び施工,運営を一括発注するDBO方式で受注し,2013年9月に竣工した後,10月からは,事業コストの削減と高品質のサービスの提供の両立を目指した20年間の運用を開始した。
TIF型炉による次世代型流動床ごみ焼却技術
旋回流型流動床焼却炉 (TIF:Twin interchanging fluidized-bed)は,1984年に市場投入された当社のオリジナル技術であり,現時点で国内71施設,海外31施設が稼働中である。
2013年9月末に竣工した平塚市環境事業センターは,当社としては8年ぶりのTIF型炉の納入となったが,その間に納入してきた流動床ガス化溶融炉の経験に裏打ちされた低空気比運転,高効率発電等の最新技術が適用されているため,次世代型流動床ごみ焼却施設として大幅に性能が向上している。
本報では,次世代型流動床ごみ焼却技術の特長について,平塚市環境事業センターの運転実績を交えて解説するとともに,今後の流動床ごみ焼却技術の展望について述べる。
福島市における溶融処理と東日本大震災について
荏原環境プラント(株)の次世代型ストーカ炉を,福島市あらかわクリーンセンターへ納入し,高効率な発電と灰の溶融処理を同時に実現している。
ごみ焼却量1 tあたりの発電量は、440 kWh/t-ごみ(2010年度)であり,200 t/d規模の施設として上位に位置する。さらに焼却主灰と飛灰の両方を溶融処理することで,最終処分率約4%を達成した。
また東日本大震災(2011年3月)では,本施設も被害を受けたが,荏原環境プラントは直ちに復旧作業を行い,震災後8日目に焼却処理を再開した。本施設では,東日本大震災以降も,溶融処理によって主灰を減容化している。これによって,東日本大震災によって逼迫した最終処分場の延命化に貢献している。