
Time Signalエバラ時報ライブラリー
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武蔵野市向け ごみ処理施設の納入-多彩な機能を備えた施設-
武蔵野市向けごみ処理施設の建設工事を行い,2017年3月末に完成,納入した。施設はごみ焼却施設としての基本的な機能に加えて,市のコンセプトに基づく災害時を含めた周辺施設への熱電供給,景観に配慮した建築デザイン,見学者サービスの充実などの多彩な機能を備えたものとなっている。また,プラントの高い性能を確保しつつ,これらの機能を両立させ,さらに既設に隣接した狭小な敷地への建設を行うため,高度な排ガス基準値にも対応したシンプルなプロセスの採用や焼却炉,プラットホームなどの地下化によって,施設をコンパクト化している。重曹を使用した乾式排ガス処理では,従来は湿式処理の適用範囲である塩化水素8ppm以下での運転を実現した。
船橋市向け 高効率ごみ発電施設及び余熱利用施設の納入
-地域に根付いた循環型社会形成への貢献-
北部清掃工場を建て替え,施設規模381t/dの焼却設備と15t/5hの粗大ごみ破砕設備からなる高効率ごみ発電施設(ふなばしメグプラ),及び余熱利用施設(ふなばしメグスパ)を,2017年3月末に千葉県船橋市に納入した。高効率ごみ発電施設では,最新式のエバラHPCC21 型ストーカシステムを採用し,排ガス再循環システムを適用するとともに,低空気比で高温燃焼を安定して継続することで,低COと低NOxを実現できる環境負荷の低い施設となっている。また,ごみ発電に加え,ごみ発電施設の廃熱を利用し余熱利用施設へ高温水を供給するなど,グリーンエネルギーを活用し,循環型社会形成に寄与できる,地域に根付いた廃棄物処理事業への貢献が期待される。
EU基準排ガス規制に適合した高エネルギー効率焼却炉設備の納入・運転状況-上海市 松江区・奉賢区-
中国上海市の松江(ソンジャン)区(500t/d×4炉)及び奉賢(フェンシャン)区(500t/d×2炉)にストーカ式焼却設備を納入し,2016年11月に性能試験を完了した。これらは中国大陸における荏原グループ納入9件目と10件目の焼却設備である。両施設は,中国最大の都市である上海市に建設され,中国における最高レベルの排ガス規制値である,EU基準が適用されている。そのため,湿式排ガス処理システムを採用するとともに,エネルギー効率改善のため,ガス-ガス熱交換器(GGH)を採用した。本稿では,乾式(消石灰噴霧)+湿式(洗煙装置)による高度有害ガス除去性能,GGH採用による経済性改善,現在までの運転状況・性能試験結果について報告する。
ごみ焼却施設の遠隔サポートセンターの運用
2016年6月に,神奈川県藤沢市にごみ焼却施設の遠隔サポートセンターを開設し,リアルタイムでの遠隔サポートサービスを開始した。現地の運転データ・状況及びITV画像を遠隔でモニタリングし,各施設の安定操業をサポート(遠隔技術支援)し,さらにデータ解析によって運転及びメンテナンス計画の最適化を目指している。ここでは,遠隔サポートシステムの概要,構成,機能,約1年間の運用実績,将来への展望を紹介する。
「腐食防食講座-高温腐食の基礎と対策技術-」
第4報:焼却プラントにおける高温腐食と対策
燃料中に塩素を含む焼却プラントにおいて,塩素による腐食は避けて通れない課題である。高温腐食防止の最大のポイントは,保護的な腐食生成物を形成させることであるが,塩化腐食の場合,生成する塩化物は緻密性に欠け保護皮膜としての機能は極めて低い。さらに塩化物は一般に融点が低くまた蒸気圧が高いなどの特徴があり,それによって様々な特徴的な腐食を引き起こす。本報では,超高温での塩化物の揮発,鋳物での粒界腐食,摩耗が関与する場合など,これまでにボイラ以外で経験した様々な部位における塩化に関する高温腐食問題とその対策について解説した。また実際の焼却炉における腐食問題として避けて通れない結露による腐食についても一部述べた。
流動床焼却施設の性能とポテンシャル
当社独自技術である無破砕型流動床焼却施設の基幹的設備改良工事において,緩慢燃焼方式や排ガス再循環による低空気比燃焼技術を導入した。燃焼空気比1.27での運転では,排ガスCO濃度は2.4 ppm,NOx濃度は約20~25 ppmと,最新の新設焼却炉と同等以上の低空気比・低CO・低NOx運転が可能であることが示された。本稿では,この事例を通じて流動床焼却技術の性能及び特長について技術的な側面から解説するとともに,それらを生かした今後の流動床焼却施設のポテンシャルについての展望を述べる。
「腐食防食講座-高温腐食の基礎と対策技術-」
第3報:廃棄物発電ボイラにおける高温腐食と対策
焼却炉の特徴として,燃料として用いられる廃棄物中に高濃度で塩素が含まれることが挙げられる。この塩素がアルカリ金属などと反応することによって塩化物を形成し,ボイラ伝熱管などに付着灰として析出する。付着灰が溶融することによって,腐食環境は著しく悪化する。また付着灰を除去するために用いるスートブローは,腐食スケールの破壊を促進し,伝熱管の減肉を加速させる。灰の付着挙動は温度に依存し,排ガス高温部には塩化物が濃縮し腐食環境の悪化を招くため,伝熱管の腐食を抑制するためには付着挙動を把握し腐食環境が適切になる設計を行うことが求められる。この付着灰の影響を中心にした減肉挙動を説明し,実機での減肉事例及び防食対策について解説した。
新潟県新潟市「亀田清掃センター」基幹改良工事
新潟市「亀田清掃センター」の基幹改良工事を行い,2016年3月に竣工した。通常のごみ処理業務の継続,1炉当たり4箇月の短工期という制約の中,安全な車両動線の確保,綿密な工事計画によって工事を完了させた。各炉の工事終了ごとに実施した性能試験では,全ての基準値を満足しつつ,空気比1.3の低空気比,低NOx,低COでの安定した運転を実現できることを確認した。また,基幹改良工事前と比較し,設備から排出されるCO2を46.3 %削減した。
小山広域保健衛生組合向け エネルギー回収推進施設「中央清掃センター70 t炉」の建設
小山広域保健衛生組合にエネルギー回収推進施設「中央清掃センター70 t炉」を納入し,2016年9月末に竣工した。エネルギー回収推進施設では,当社最新式のエバラHPCC21型ストーカ式焼却システムを採用して1.3以下の低空気比で運転し,かつ,ボイラの蒸気で最大1300 kWの発電をし,既設施設への送電及び余剰電力の売電を行っている。既存施設を運用しながら,狭隘な敷地の中で本施設を建設したことが大きな特長である。